ヘッドフォン ペルソナ34Q小話 2013年04月29日 ヘッドホンから流れる音楽を聞いていると、つい足でリズムをとってしまう。休み時間いつものように音楽を陽介が聞いていると、不意に前の席の日向が後ろを振り向いた。陽介の机に肘をついて、じっと見つめてくる。「な、なんだ?」 凝視されて流石に落ち着かず、陽介は音楽を停止させヘッドホンを外した。「何を聞いているのか気になる」 ヘッドホンに視線を移しながら日向が自分の耳を指差して言った。「シャドウと戦っている時も聞いてるから、陽介はどんな音楽聞いているのか、ずっと不思議に思ってた」「なら、聞いてみっか? 結構いい曲入ってるし」 陽介はヘッドホンを外して日向に向けた。「いいのか?」と聞く声に「いいって」と頷きさらに差し出す。「じゃあ、聞いてみる」 日向が差し出されたそれを受け取って耳に当てる。そして陽介が音楽を再生させた途端、「うわ」と日向は眉間に皺を寄せ、当てたばかりのヘッドホンを耳から遠ざけた。「音、大きいな。いつもこれぐらいなのか?」「そうだけど。少し小さめにしてやろうか」 自分は慣れているが、日向からすれば大きすぎたらしい。陽介はボリュームを操作して音量を下げた。「あ、うん。これぐらいでいい」 恐る恐るヘッドホンを耳に押し当てていた日向は、ヘッドホンをつけ直し、目を閉じる。リズムを取るように小さく頭を振って、音楽に聞き入っている。どうやらお気に召してくれたらしい。 自分の好きなものが受け入れられて、陽介は嬉しくなった。同じものが好きだと、なんだかそれがもっと好きになれるようだ。日向とならもっと。 頬杖をついて、陽介はじっくり日向を見る。すぐ近くに目を閉じた相棒の顔。自分の茶色い髪と、日向の少し薄めの黒髪が触れあってる。間近で日向の顔を見ることは滅多にないので、とても新鮮だった。 何だかくすぐってーな。そう思いながらも陽介は休み時間が終るまでこのままでいれるよう、こっそり祈った。 [0回]PR