夢 ペルソナ34Q小話 2013年04月29日 陽介に押し倒された日向は、ぱちりと目を丸くした。妙に切羽詰まった陽介をじっと見て「……正夢?」と首を傾げる。「なんだよ、それ」 日向とは対照的に、余裕のない声で陽介が言った。床に押し付けた日向の肩を掴む力が強くなる。「昨日夢を見たんだ。何故か陽介とプロレスする夢」「なっ……」「一回マウント取られて今みたいな体勢になったから、それが重なって。で、それが正夢になったのかと」「んな訳ねぇだろ!」 陽介が叫んで、日向の言葉を否定した。「お前さ、考えてみろよ! 付き合ってる二人が良い雰囲気でいるところにこの体勢! この流れでヤるって言ったら一つしかねぇだろが!」「……だから、プロレス?」「だーかーらー!」 空気読めよ!と真っ赤になって怒鳴る陽介に、日向はぷっと吹き出した。「いや悪かった。冗談冗談」「……へ?」「ちゃんと分ってる。陽介が何したいのか」 日向は腕を上げて、陽介の頬を指先で撫でた。「かわいいな、陽介は」「お前は質わりーよ……」 深々と息を吐く陽介は、それでも日向の上から退かない。きっと日向を見据え「見てろよ。プロレスよりすげえことしてやるからな」と挑発する。 それはどんなことなんだろう。そう思いながらも、日向は「お手柔らかに頼むよ」と陽介の首に腕を回して引き寄せた。 [0回]PR