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ジュンゴとにょたうさ

うさみみが女体化しているので折り畳み



「――優輝」
 名前を呼んで純吾は膝に乗せた優輝の頬に口づけた。そのまま二度三度と鼻筋や耳朶へ唇を押し当てられ、くすぐったさに優輝は身を捩らせる。純吾の膝から降りればすぐに解決するけども、すでに逃げられないようがっちり腰へ腕が回されていた。
 ここは純吾の部屋で、他には誰もいない。けれど、膝に乗せられた体勢は何だか恥ずかしい。
「ジュンゴ、くすぐったい」
 些細な抵抗として優輝は純吾の口を手のひらで塞いだ。キスを遮られ、口を優輝の手で覆われたままの純吾は不思議そうに瞬きをする。どうして、と問いかける眼差しに優輝はそっと目を反らした。この状況がとても恥ずかしいんだと察してほしい。純吾の場合、難しいと理解しているけども。
 そっと唇を塞ぐ優輝の手首を、純吾が優しく掴んで引き剥がす。
「逃げちゃダメ」
「それはジュンゴが恥ずかしいからだろっ」
「恥ずかしくなんかないよ? この前もしたことだから」
「……っ」
 純吾から視線を反らしたままだった優輝は、一気に首筋まで真っ赤になった。心臓がばくばくと速くなって、途端に純吾の膝に乗っている状態に改めて恥ずかしくなってしまう。
 逃げたくて、優輝は身体を揺らし、離してと無言の意思表示をした。しかし、純吾は頑として腰を抱いた手を離してくれない。
 純吾が触れている箇所から熱が広がっていく。さらには指先が服の内側に潜り肌に触れた瞬間、そこから痺れが生まれた。
「ジュンゴ待った」
 服の中に潜る手を窘めるように、優輝は純吾を制止した。二度も行為を止められ「……どうして?」と悲しそうに眉を下げる。
 お預けを食らった悲哀の表情に、ぐっと優輝は怯むが負けじと言い返す。
「きょ、今日は……か、かわいくないんだ」
「優輝はかわいいよ?」
「だからそういうことをほいほい言うな! オレもだけど、もっとかわいくないのはその……し、下着の方……だ」
 最後は言葉にするのも羞恥が増して、俯いた優輝の声は途切れがちになってしまう。まさかこういう展開になるとは露とも思わなくって、どうでもいい下着をつけてしまったからだ。
「……そうだ、この際に聞いておきたい」
 恥ずかしさを押し殺して、真っ赤な顔を上げた優輝は思い切って尋ねた。
「……何?」
「ジュンゴは……セクシーなのと、キュートなの、どっちが好きなんだ?」
「……セクシー? キュート?」
「し、下着の話だ!」
 はっきり言わないと純吾には伝わらない。つい優輝は声を張り上げてしまった。どうして肝心なときには鈍いんだこの男は。わかっていても、もどかしさに優輝はむくれて純吾を睨みつける。

『――ジュンゴはニブチンやからなあ。少しぐらいはセクシーなので攻めた方がええで』
 つい最近会った緋那子から言われたことを優輝は思いだした。
『ええっ? 優輝さんにはかわいいのが似合うに決まってんじゃない! 自分の好み押しつけてどうすんのよ』
 その時、横から話に入ってきた亜衣梨が反対する。
 その後互いの主張を譲らず、二人は議論を繰り広げていた。議論の中心である優輝を置いてきぼりにして。しかし終わりは全く見えず、それどころか、普段色気も可愛げもない下着を着用している優輝が悪いと結論になって憮然としたものだった。こっちとしては効率的に動きやすいものを選んでいるのに、理不尽だ。
 だけど言われてしまったら気になってしまうのは女の性。改めて見た己の下着姿は確かに色気もなければ可愛くもない。

 ――ジュンゴは可愛いと言ってくれるけど。

 好きで、付き合って、触れ合っている間柄。もっとよく見られたい気持ちもあった。
「……お、教えてくれたら、今度から好みに合わせようと……思う。だから」
 ぼそぼそ呟く優輝に、純吾は当たり前のように言った。
「ジュンゴ、優輝が好き」
「えっ?」
 優輝が目を丸くした次の瞬間、ふわりと身体が浮いた。ジュンゴの腕に支えられ、優輝は床へ横たわる。
 すぐに優輝に覆い被さった純吾が鼻先が触れ合う距離まで顔を近づけ、笑う。
「どんなの着てても、変わらない。ジュンゴ、優輝好き」
 ちゅ、と音を立て純吾は優輝にキスをする。
「だからジュンゴ、優輝としたいな。……いや?」
「……」
 いや、って聞かれても。選択肢はどうあがいても一つしか取れないだろう。優輝は心の中で諸手をあげる。
「いやじゃないに決まってるだろ……」
 観念して優輝は腕を伸ばし、純吾の頬を包み込んだ。
「しよう」
「……うん」
 純吾は嬉しそうに笑い、触れられた手に頬をすり寄せると優輝の服に手をかけた。

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