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二次創作(小説のみ)やオフラインの情報を置いてます。

プレゼント 主人公+千枝+陽介



 千枝が教科書を出し授業の準備をしていると、いきなり横から何かが差し出された。がさり、とビニル袋が擦れる音の方に思わずびっくりして振り向けば、日向が「これあげる」と言う。
 瞬きをした千枝は、差し出されたものを見て「……あたしに?」と日向に視線を移した。
「うん」と頷く日向から差し出されたものを受け取り、興味心からさっそく中を覗いてみる。何の前触れもなかったせいか、少し千枝はどきどきしてしまう。
 中に入っているのはどうやらDVDらしい。手にとって袋から出した千枝の眼が、パッケージのタイトルを見るなり丸くなった。
「これって成龍伝説の新作じゃん!」
 しかも数量限定の限定盤だ。通常盤では決して見られない特典映像が多く収録されている、ファンにはたまらない仕様だが数量限定のため入手が困難になっている。千枝もまた予約をしても手に入らなかった人間の一人で、涙をのんで諦めかけていたせいか、いきなり現物を見せられ気が動転してしまった。
「こっ、こっ、これ! どしたの!?」
 上擦る声で千枝が尋ねる。酷く驚いたせいで、喉から手が出るほど欲しかったDVDを持った手は震えてしまった。
「ちょっとしたツテで貰ったんだ」
 何のこともなく日向がさらりと言った。
「本当は新品がいいんだろうけど。開封済みのしかなくって。里中はそういうの気にする?」
「ううん! 全然気にしないよ!」
 せっかく日向がくれたものなのに。そう思いながら勢いよく首を振った千枝は「でもどうしてこれくれるの?」と不思議になって日向に聞いた。
 すると日向は「里中の修業に役立つかと思って」と答える。
「里中の蹴りにはいつも世話になってるし。これからも頼りにしてるから」
「……橿宮くん」
 元々自分の蹴り技は、カンフー好きな趣味から始めたことだった。けど、こうして頼りにしてくれる言葉をかけてもらえると、心からやってて良かったと千枝は思える。
 千枝は笑顔を浮かべ「ありがとう!」と日向に感謝の礼を伝えた。
「すっげー嬉しい! これ参考にしてもっと強くなっちゃうから!」
「うん。里中の蹴りには期待している。そして、俺にもまた形教えて」
「オッケーオッケー張り切っちゃうから!」
 力こぶを作るように腕を曲げ、千枝は張り切る。せっかく日向が期待してくれているのだから、それに精一杯応えたかった。


「……」
 日向と千枝のやりとりを後ろから見ていた陽介は、深い溜め息を吐いて机に突っ伏した。またあの二人の蹴り技が鍛え上げられると思うと、心中穏やかではいられない。
 確かにシャドウ相手には有利かもしんないけど。それがこっちに向かってきたら、と思うと。
 春先に千枝に蹴られた時の衝撃を思い出し、陽介は身震いする。あれ以上鍛えられた蹴りなど喰らった日にはどうなるか。
「余計なことを……!」
 怨みを込めて陽介は呟くが、それは日向にまで届くことはなかった。

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